村田路人名誉教授 第59回大阪市市民表彰受賞コメント

村田路人名誉教授が、第59回大阪市市民表彰を受賞されました。
受賞項目:「文化功労」(芸術・芸能・科学又は学術に関して尽力された方)

村田路人名誉教授写真_20250206.jpgむらたみちひと 1955年大阪市生まれ。神戸女子大学文学部教授、大阪大学名誉教授。

専門は日本近世史。「支配の実現メカニズム」という観点から、江戸幕府や大名・旗本などの領主がどのように民衆を支配していたのかを解明するとともに、卒論以来のテーマである近世治水史についても研究を進めている。また、『豊能町史』史料編(豊能町、1984年)、同本文編(豊能町、1987年)以来、大阪府下の多くの自治体史の編纂に携わっている。その他、大阪大学在職中より緒方洪庵と適塾の顕彰活動に取り組み、『緒方洪庵全集』全7冊(大阪大学出版会、2010年~2025年)の刊行には編集長として関わった。単著に、『近世広域支配の研究』(大阪大学出版会、1995年)、『日本史リブレット93 近世の淀川治水』(山川出版社、2009年)、『近世畿内近国支配論』(塙書房、2019年)、『緒方洪庵が伝えたもの―適塾略史―』(大阪大学適塾記念センター、2020年)がある。

村田路人名誉教授のコメント

 今回の表彰は予想もしていなかったことで、連絡を受けた時は大いに驚きました。大変名誉なことで、とても有難いことと思っています。

 私の研究テーマは、日本近世(だいたい豊臣政権期から明治維新期までの300年足らずの時代を指します。大半は江戸時代です)における支配の特質解明ですが、分析の対象としてきた地域は、ほぼ現在の大阪府の範囲内に収まります。そのため、結果的に長年近世大阪の歴史の解明に従事したことになりました。今回、「大阪の学術文化の振興と発展に貢献した」ということで表彰の対象となりましたが、たまたま私が近世大阪研究を長年続けてきたというにすぎません。

 とはいえ、大阪の近世史を研究することは、他の地域にも増して、日本近世史研究を進展させる上で大きな意味があると考えています。つまり、大阪を検討の対象とすることで、新たな日本近世史像を打ち立てることができるということです。今回の表彰は、この面での貢献を多少なりとも評価して頂いた結果でもあると想像しています。

残された時間はあまりありませんが、まだしばらく大阪にこだわり、日本近世史研究の進展に微力を尽くすことができればと思っています。