考古学講座は、開設が1988年と比較的新しいものの、それ以前の国史研究室時代からの研究・教育の蓄積があります。専任教員は福永伸哉教授、高橋照彦教授の2名です。日本考古学に重点をおいた研究・教育を行っていますが、教員や大学院生は海外のフィールド調査をも手がけて、比較考古学的な幅広い視点を探求しています。
研究室では、毎年実施する発掘調査とその資料整理を基礎とした教育を重視するとともに、とくに大学院では考古学や人文科学の方法論の討論にも力を入れ、国際的視野にたって日本考古学を推進しうる研究者の養成に努めています。
文学研究科のなかでは歴史の浅い研究室ですが、この研究室で研鑽を積んだ多くの修了生は、すでに各地の大学、研究所、教育委員会、博物館などに勤務し、考古学研究の第一線に立って活躍しています。
研究室の活動・講義内容をはじめ詳しい情報は、ホームページに掲載していますので、ぜひたずねてみてください。
教員紹介
教授 高橋照彦
![]() 1966年生。1992年、京都大学大学院文学研究科博士後期課程中退。博士(文学)(京都大学、2014年)。国立歴史民俗博物館考古研究部助手、奈良国立博物館学芸課研究員を経て、2002年大阪大学大学院文学研究科助教授、2007年同准教授、2015年より現職。 専攻:日本考古学、東アジア考古学。 |
- 研究紹介
- 「歴史考古学」と通称される分野、日本で言うと、飛鳥・奈良時代以降の考古学を主に専門としています。これまで、日本古代のやきものである三彩・緑釉陶器や銭貨といった考古資料を通して、奈良・平安時代の文化や社会を明らかにしようとしてきました。そのほかにも、古代寺院や古代墳墓などについても、現在研究を進めています。発掘調査の関係では、平安時代の須恵器や緑釉陶器の窯である篠窯、中国新疆ウイグル自治区に所在するシルクロードのオアシス都市、ニヤ遺跡の日中共同調査などにも携わっています。
- メッセージ
- 大阪大学の考古学研究室は、例年、夏期のフィールド調査を続けています。その際に大学院生はまさに調査担当者として研究室を引っ張っていく存在であり、その実践的な取り組みは、考古学さらには社会における様々な能力を向上させる、良い機会になるはずです。他大学から進学した大学院生も少なくなく、学内外の学会・研究会も多いため、院生は切磋琢磨しながら研究を進めています。私自身は、考古資料と文献史料を統合した歴史像の構築が目標ですが、考古学の新たな未来を切り開く多くの人材を待ち望んでいます。
- 主要業績
- 「平安初期における鉛釉陶器生産の変質」『史林』77-6(1994年);「正倉院三彩の伝来過程と製作契機」『仏教芸術』259(2001年);「欽明陵と檜隈陵―大王陵最後の前方後円墳―」『待兼山考古学論集』(2005年);「銭貨と陶磁器からみた日中間交流」『シルクロード学研究』23(2005年);「律令期葬制の成立過程」『日本史研究』559号(2009年);「考古学からみた法華堂の創建と東大寺前身寺院」『論集東大寺法華堂の創建と教学』(2009年)
- 概説・一般書
- 『概説 中世の土器・陶磁器』真陽社(共著、1995年);『お金の不思議』山川出版社(共著、1998年);『改訂 日本古代史新講』梓出版社(共著、2004年);『列島の古代史 ひと・もの・こと』5、岩波書店(共著、2006年);『Jr.日本の歴史』①、小学館、(共著、2010年);『天平びとの華と祈り―謎の神雄寺―』柳原出版(共著、2010年);『天皇陵古墳を考える』学生社(共著、2012年);『野中古墳と「倭の五王」の時代』大阪大学出版会(共編著、2014年);『日本古代交流史入門』勉誠出版(共著、2017年)
2018年 8月更新
准教授 中久保辰夫
なかくぼ たつお 2025年より現職。 専攻:日本考古学(古墳時代)、比較考古学。 ![]() |
- 研究紹介
- 古墳時代を中心とする墓制、対外交流論。日本古代の土器文化と食文化に関する学際研究。
- メッセージ
- 大学院生の頃、墨書でその遺跡がある地名を記した土器を発掘しました。千年を超えて地名が変わらなかったことを発見した感動は、いまでも忘れられません。考古学は、史書に記されなかった暮らしの跡、名をのこすことができなかった権力者の墓や副葬品も含めて、失われた過去を復元していきます。それは、定説を覆すこともしばしばあり、あなたが誰も知らない文化の第一発見者になるかもしれません。未知の過去を探索する旅に出る仲間を、考古学研究室は求めています。
- 主要業績
- 概説・一般書
2025年 4月更新