本専門分野では、現代日本語学、社会言語学、日本語教育学の各領域の研究を行っています。現代日本語学では、日本語の文法、語彙、音韻、表記等の記述的・理論的な研究、社会言語学では、日本語の多様性とそれに伴う言語問題の社会的な研究、日本語教育学では、日本語の第一言語、第二言語習得・使用と教育に関わる質的な研究を、それぞれ目標とし、全体として、日本語および日本語社会の特質を解き明かそうと努めています。

いずれの領域においても、当初から日本人とともに外国人の大学院学生を研究室における当然の存在として導き入れてきました。留学生を含む学生たちが、日本語をめぐって熱心に討論している姿は研究室や教室でいつでも目にする光景ですが、このような対話を繰り返すうちに、いつのまにか対照言語学的な視点が芽生え、日本語を一つの個別言語として客観的に見ていこうとする姿勢が定着してきているようです。そういったグローバルな雰囲気のなかで日本語と日本語社会の特質を解き明かそうと努めていることが本専門分野の大きな特色の一つです。

教員紹介

教授 三宅 知宏 教授 高木 千恵 准教授 眞野 美穂 准教授 原田 走一郎

教授 三宅 知宏

みやけ ともひろ
1965年生。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程退学。博士(文学)(大阪大学)。鶴見大学専任講師,同准教授,同教授,2016年4月より大阪大学文学研究科准教授を経て、2019年1月より現職。
専攻:日本語学・言語学
研究紹介
普遍的な一般言語研究を視野に入れつつ,個別言語としての日本語の具体的な言語現象について,分析を行っています。その際,日本語を母語としない人向けの日本語教育や,母語話者向けの国語科教育への応用可能性も念頭においた「観察」,「記述」を心掛け,一般言語研究における言語理論への展開をふまえた「説明」を目指しています。なお,対象とする言語現象,および依拠する言語理論に,制限は加えていません。興味を持てば,何でも対象にし,何でも方法にする,というスタイルです。
メッセージ
日本語と呼ばれる言語(諸方言も含む)は,どのような性格の言語なのか,他の言語とどのように違い,どのように同じなのか,そもそも人間の言語(日本語も含まれる)とはどのようなものか,というようなことに関心を持ち,その解明に挑んでみようとする人にとって,本学は最高の研究環境にあると断言できます。この研究環境を生かすかどうかは学ぶ人次第ですが,少なくとも本学には,この分野で研究者への歩みをはじめることを躊躇する理由は,ありません。
主要業績
『日本語研究のインターフェイス』(くろしお出版,2011); 「日本語の『補助動詞』と『文法化』・『構文』」『日英語の文法化と構文化』(ひつじ書房,2015); 「日本語の疑似条件文をめぐって」『日英対照・文法と語彙への統合的アプローチ―生成文法・認知言語学と日本語学』(開拓社,2016)。
概説・一般書
『日本語と他言語―【ことば】のしくみを探る―』(神奈川新聞社,2007)。

2019年 4月更新

教授 高木 千恵

p_takagi2022.jpgたかぎ ちえ
1974年生まれ、大阪大学大学院文学研究科文化表現論専攻修了、博士(文学)。神戸松蔭女子学院大学非常勤講師、京都光華女子大学非常勤講師、関西大学専任講師、同准教授、2010年10月より大阪大学大学院文学研究科准教授を経て、2023年1月より現職。
専攻:社会言語学・方言学
研究紹介
社会言語学を専門にしています。具体的には、異なる体系を持つ言語(方言)どうしの接触によって起こるダイナミックな言語変化に興味を持っています。これまでは、関西の若年層の話しことばに注目して、メディアによる標準語の影響を受けながらも独自性を保ち続ける地域語の姿を明らかにしてきました。地域社会に生きる人々が、標準語という絶対的権威をもつ言語変種と日常的に接触しながら自身のことばをどのように運用しているか、その実態を解明し、地域社会のことばの動向を追究したいと考えています。
メッセージ
社会言語学は、ことばと、それを操る人間とのかかわりに関心を寄せる学問分野です。ふだんの何気ないことばづかいには一見すると何の規則もないように思えますが、実はさまざまな要因が絡み合っており、それを解きほぐしていくところにおもしろさがあります。とらえどころのないように見える生きたことばたちと向き合いながら、ことばの使い手である人間を理解していくのが社会言語学です。みなさんが日常生活のなかで感じることばへの疑問の多くが、社会言語学のテーマになりうることと思います。
主要業績
『関西若年層の話しことばにみる言語変化の諸相』(『阪大日本語研究』別冊第2号、2006、単著);『最古の富山方言集―高岡新報掲載(1916~1917年)「越中の方言」(武内七郎)―』(桂書房2009、共編);「関西若年層の用いる同意要求の文末形式クナイについて」(『日本語の研究』5-4、2009、単著);「談話資料からみる日系カナダ人3世の会話スタイル」(渋谷勝己『日系人日本語変種の成立過程に関する言語生態論的研究』44-50、2013、単著)。
概説・一般書
「関西若年層の新しいことば」(『日本語学』28-14、2009、単著);「標準語との接触による地域語の変容」(『日本語学』29-14、2010、単著);「日系カナダ人の日本語」(『日本語学』29-6、2010、共著);「関西」(真田信治編著『方言学』、2011、単著);「日本語の攻防 言語接触:方言と標準語」(『日本語学』31-8、2012、単著);「ネオ方言:標準語と伝統方言のあいだ」(『日本語学』33-1、2014、単著)。

2023年 1月更新

准教授 眞野 美穂

p_mano2022_1.jpgまの みほ
1977年生。神戸大学大学院文化学研究科修了。博士(学術)。関西看護医療大学専任講師、鳴門教育大学専任講師、同准教授を経て、2022年4月より現職。
専攻:日本語学
研究紹介
これまで、主に現代日本語を対象とし、語自体が持つ情報と、それが文の中で果たす機能、そして作り出される文の構造との関係に焦点を当てながら、与格主語述語、類別詞や同格名詞句などの研究を行ってきました。他言語の言語現象との共通点や差異を考えることで、通言語的な一般化を目指しています。ただ、特に名詞に関しては、まだまだ十分に記述されていない言語現象も多いことから、これからは、より多角的に名詞を観察し、動詞研究の知見と融合させることで、体系的な分析につなげたいと考えています。
メッセージ
日本語は研究の蓄積が多い言語の1つですが、それでもまだまだわからないことの方が多いのが現状です。皆さんが日々ことばを使う中でふと感じた疑問が何かを解き明かす問いになるかもしれない、と思うと、ワクワクしませんか?ただ、その疑問から仕組みを探り、そこに潜む法則を解き明かすためには、できるだけ多くの言語現象やその特徴を知っておく必要があると思います。様々な言語現象(そして言語にも)に出会える本学で一緒に日本語の研究に取り組んでみませんか?
主要業績
「状態文の時間性と叙述の類型」(『叙述類型論』くろしお出版 2008)、「生成語彙理論による助数詞の分析」(『レキシコン・フォーラム 6』2013、共著)、「日本語同格名詞句に見る意味的階層と統語構造についての一考察」(『統語構造と語彙の多角的研究』開拓社、2020)、『移動表現の類型論と第二言語習得:日本語・英語・ハンガリー語学習の多元的比較』(くろしお出版、2021、共著)、「英語からの借用語における形態素の振る舞い」(『鳴門教育大学研究紀要』2022)
概説・一般書
「状態と属性―形容詞類の働き」(『日英対照 形容詞・副詞の意味と構文』大修館書店、2009、共著)、「名詞の数え方と類別」(『日英対照 名詞の意味と構文』大修館書店、2011共著)、『接続詞と句読法』(開拓社、2019、共訳)、『名詞研究のこれまでとこれから』(くろしお出版、2021、共編著)

2022年4月更新

准教授 原田 走一郎

p_harada2025.jpgはらだ そういちろう
1982年生。2015年、大阪大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(文学)(大阪大学)。国立国語研究所、長崎大学多文化社会学部を経て、2025年9月より現職。専攻:言語学/日琉語学/方言学。
専攻:基盤日本語学
研究紹介
日琉諸方言の記述言語学的研究を行っています。主なフィールドは沖縄県八重山地方と九州ですが、どこへでも行きます。一つの言語/方言のなるべく多くの側面の記述を行いたいと考えています。また、言語変化一般にも興味を持っています。共時的な言語/方言記述と、言語変化の研究をうまく組み合わせていくことができればと考えています。
生の言語に向き合うのは時に混沌の中に突き落とされるような経験でもあります。しかし辛抱強く、常に現場を志向して研究したいと思っています。
メッセージ
自分自身で現地に行って、そこの空気を吸って、直接そこの人のことばを聞くという経験を通してしか得られないことがあります。ぜひ、現地調査をしてみてください。ただし、単に行けばいいというわけではありません。むしろ事態は逆で、調査のためには事前の入念な準備が必要ですし、事後にはお礼状をお送りしたりもします。そういうことができない方には現地調査はさせません。もちろん、現地調査遂行のためのお手伝いは全力でいたします。
主要業績
「長崎県藪路木島方言における「が」と「の」 ―無生物主語の場合―」(『方言の研究』10、2024、単著)、「南琉球八重山語黒島東筋方言における目的語の無助詞―談話資料を基に―」(『多文化社会研究』8、2022、単著)、「南琉球八重山黒島方言における二重有声摩擦音」(『日本語の研究』12(4)、2016、単著)、「鹿児島県北薩方言の文末詞センー用法の変化に注目してー」(『日本語の研究』8(1)、2012、共著)
概説・一般書
「黒島語の文法」「解題」(當山善堂編著『黒島事典:黒島の言語・諺・歌謡・習俗』編集工房東洋企画、2024)、『ワークブック 方言で考える日本語学』(くろしお出版、2023、共著)

2025年12月更新